【図解】ダムの緊急放流を徹底解説!なんで実施するの?しないとどうなる?

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こんばんは

2019年の10月頃に発生した西日本豪雨。

その最中に実施したダムの「緊急放流」について、被害者が裁判を起こし、ニュースになっています。

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Aくん
Aくん

緊急放流って何か仰々しい言い方だね…

でも具体的に何を実施しているかは全然イメージつかないや…

Bさん
Bさん

緊急放流するときは避難した方がいいって聞くけど、なんで?

そんな方のために、緊急放流とは何なのか、何が問題になっているのかを解説します。

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緊急放流とは…?

緊急放流って聞くと、どんな内容をイメージするでしょうか。

  • 緊急放流をすると、ダムがなかった時よりも洪水がひどくなる
  • 緊急放流をすると、ダムが決壊するリスクが高まる
  • 事前放流を実施したら、緊急放流は必ず防ぐことができる

以上の内容はすべて間違いです!

なぜなら、ダムの緊急放流は、

ダムに流入した水量を同じ量だけ放流すること

それ以上でもそれ以下でもないからです。

緊急放流のイメージ

流入した水量と同じ量だけ放流と聞いてもイメージできないなあ

という方も多いと思うので、順を追って説明します。

ここでは100年に1度の大雨が降ったAダムについてみていきます。

Aダムはこんな感じです。

ダムを横からみた図になっています。矢印は降ってくる雨の量を表しています

右側がダム湖、左側が川です。ダム本体には水を放流するための穴が開いています。

上の方には洪水吐、下の方にはバルブがついています。

雨が降ってきて、ダムに水が溜まってきました

気象予報士
気象予報士

Aダム付近ではさらに多くの雨が降ることでしょう。

更に雨が強くなりました。

このまま貯め続けると、ダムのキャパシティが危うくなってきます。

そこで、ここでダム湖へ降る水の量を100とした時、50の水の量を放流することにしました。

これは放流はしているものの、緊急放流ではありません、

なぜなら、降ってきた雨の量より、放流している水の量の方が少ないからです。

ただ単に放流です。

Aダム付近で雨が弱まることはなく、断続的に続くでしょう。

雨の勢いは止まりません。

先ほど50の量で放流していましたが、そのペースだと、100(雨などの流入量)-50(放流量)=50がダムに貯水され続けます。

そのペースで放流していたら、ダムにたまる水の量が増加し続ける一方なので、ダムにためている水があふれてしまいそうです!

このようなタイミングになると緊急放流しますというアナウンスが流れることでしょう。

こうなったら、ダムは100の雨(流入量)に対して100の放流をしなければならなくなります。

即ち、入ってくる水の量(雨など)と放流する量が同じになり、ダムが建設されていないときと同じ挙動をします。

これが緊急放流です!

緊急放流のポイント

緊急放流のイメージをつかめましたでしょうか。

ポイントは以下の通りです。

  • 流入量と同じだけ放流する。
  • ダムがないときと同じような挙動になる
  • 流入量以上に放流することはない
  • 緊急放流することによって、ダムがない時より洪水が悪化することはない

よく、

ダムが緊急放流したから、下流の洪水が悪化したんだ!

という人がいますが、これは間違いです。

ダムの緊急放流は、あくまでも流入量と同じだけ放流する=ダムがないときと同じ挙動をするわけであって、降ってくる水よりも放流する水が多くなることは絶対にありません。

緊急放流によって、ダムがない時より洪水が悪化することはない。

この点は十分に抑えておく必要があります。

緊急放流の意味

ここまで読んでくれた方はこう思うかもしれません。

緊急放流したら、ダムの役割がなくなるってこと?

それならダムがあってもなくても変わらないんじゃない?

確かに、そういう気持ちになるのはわかります。

予想だにしない雨が降り続くのであれば、ダムは最終的に緊急放流を実施せざるを得ない(=ダムがないときと同じ挙動をする)からです。

しかしながら、ダムには洪水調節をする際に重要なもう一つのポイントがあります。

それは、

緊急放流までの時間を稼ぐことで、下流の人々が避難する時間を稼ぐことができることです。

上の図の流れを見てもらうとわかる通り、ダムは大雨になってからすぐ緊急放流を始めることはありません。たくさんの水を貯めて、貯めて、それでもキャパが足りなくなったときに緊急放流を実施するのです。

そのダムが水を貯めている間に住人は避難し、一命をとりとめることができるのです。

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まとめ

今回の内容は以下の通り

  • 緊急放流することによって、ダムがない時より洪水が悪化することはない
  • 緊急放流すると、流入量と同じだけ放流される。降った雨と同じ量だけ川の水が増える
  • ダムが緊急放流しそうだったら、ダムが水を貯めて時間を稼いでいる間にに避難した方がよい

なんとなく、ダムの緊急放流がイメージできましたでしょうか。

また、ダムの放流については下記の記事も参考になりますのでぜひご覧ください。台風、災害時のダムの挙動について記しています。

以上!

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