こんにちは。
先日こちらの記事でダムの魅力について紹介しました。
その中で紹介した、ダムの建設された背景についてのお話です。
例えば、日本一有名な黒部ダム。今から50年以上前、富山県の超山奥に建設された巨大ダムです。建設には困難を極め、170人程度の方が命を落としたといわれています。
迫力ある姿で観光地として人気ですが、なんで黒部ダムが建設されたのか、ご存じの方は少ないのではないでしょうか。
正解は、ダムを使用した水力発電で、電力を供給するためです。
建設前は関西地区では頻繁に停電が発生しており、それに対応するために黒部ダムは建設されました。
このように、黒部ダムをはじめ、日本全国のダムはそれぞれ異なる役割を持っています。
今回はそんなダムの役割について紹介していきます。
治水
ダムの役割の枠組みとして、水を治める(治水)があります。川の水の量が多すぎたり、少なすぎたりしないようにコントロールするのが治水です
洪水調節
治水の役割の1つ目が、洪水調節です。
これについてはイメージしやすい方も多いのではないでしょうか。
雨が多く降りそうな際に、事前にダムの水を放流し、貯水容量を確保します。その後、水を貯めることで下流の川が洪水することを防ぎます。
ダムカードではF(Flood Contorol)と記されています。
凄く極端に言うと以上の図のようにダムで水を貯めることによって、下流の街を水害から守ることができます。
洪水調節の機能ってすべてのダムが持ってるんじゃないの?
自分も最初はこう思ってましたが、実はそうではありません。洪水調節を持っていない機能のダムはたくさんあります。すなわち、台風が来る、大量の雨が降るとわかっていても、事前に放流しないダムは一定数存在するのです。
しかしながら、さすがにそれは運用的にいけてないだろうということで見直す動きがあります。詳しくは下記をご覧ください。
不特定利水、河川維持用水
治水2つ目は、不特定利水、河川維持用水です。
ダムカードではN(Maintenance of Normal flow function)と記されています。
なんか、難しそうだね、、、
そう思うかもしれませんが、そんなことはありません。
河川維持用水とは、川が正常に機能する程度に水を放流するということです。
水が多すぎるとき(洪水時)などに水を貯めこむのが洪水調節。逆に、全く雨が降らないときに、適度に川に水を流すのが河川維持用水。と覚えておくとよいでしょう。
また、ダムができる以前から使用していたかんがい用水の、不特定利水ということでここに含まれます。次の、かんがい用水のページも参照ください。
利水
水を利用する、利水の役割の紹介です。私たちが水を利用する際の様々なパターンを紹介しています。
上水道用水、農業用水、工業用水、レクリエーション、消雪用水、発電に分類できます。
これらの役割は重複することも多いです。
上水道用水
1つ目は上水道用水。
下流地域へ供給する飲み水を貯めるためのダムです。
ダムカードの表示的にはW(Water Spply)です。
東京都奥多摩町、多摩川上流に位置する小河内ダムが水道用水専用のダムとして有名です。東京都民の飲み水を支えています。
かんがい用水
2つ目はかんがい用水。
稲作など、農業に必要な水を貯水するのがここに当たります。
ダムカードの表示的にはA(Agriculture)となります。
さっきも似たような役割なかったっけ?
先ほどの不特定利水も、同じく農業をするための水として利用されています。
ダムが建設される前にも使用されていた、利権が不明の農業用水
⇒不特定利水
ダムが建設されてから使用されるようになった農業用水
⇒かんがい用水
という違いがあるようですが、あまり意識しなくてよいでしょう。
工業用水
3つめは工業用水。
ダムの下流に工業地帯がある場合に、そこで使用する水を貯めるのがここに当たります。
ダムカードの表示的にはI(Industrial)です。
トヨタのお膝元、愛知県、それらの川の上流に位置する岐阜県には特に多いイメージです。
レクリエーション
4つ目はレクリエーション目的。
観光や、ボート競技などのスポーツを実施することを目的とするダムのことを指します。
ダムカードの表示的にはR(Recreation)です。
正式にダムの目的としてレクリエーションを掲げているのは、全国に3例しかありません。(うち1件は事業凍結中)
ex)、長沼ダム(宮城県)、武庫川ダム(事業凍結中、兵庫県)、石井ダム(烏原川)
長沼ダムは、国際大会が実施できるような漕艇場が、石井ダムはダム内に多目的ホールが建設されています。
釣りができる程度のレクリエーションが可能なダムは数多くありますが、目的として認められない模様です。
消流雪用水
5つめは消流雪用水。
冬の時期に、消雪パイプなどを利用し、雪を溶かすために使用される水を貯水するものです。
ダムカードの表示的にはS(Snow)。
富山県を中心とした北陸地方にしか存在しない、レアな目的になっています。
発電
最後に、忘れてはいけないのが発電です。
ダムカードの表示的にはP(Power)です。
先ほどの説明した通り、黒部ダムが発電用のダムとして有名になっています。
以下の図をご覧ください。
このように、ダムの高低差を利用した水の流れで水車を回し、発電を実施しています。
かなり多くのダムでは発電が実施されており、ダムのすぐ下流に設置されているので気づきやすいです。
さいごに
今回の一覧を簡単に図にまとめました。
このアルファベットがどの役割に紐づくかを知っておくと、ダムカードを見たときに理解が深まります。
治利 | 名称 | 概要 | 略 |
治水 | 洪水調節 | 洪水に備える | F |
治水 | 河川維持etc | 川の流量維持 | N |
利水 | 上水道用水 | 飲み水を貯める | W |
利水 | かんがい用水 | 農業の水を貯める | A |
利水 | 工業用水 | 工業の水を貯める | I |
利水 | レクリエーション | 観光、スポーツ | R |
利水 | 消流雪用水 | 雪を解かす水を貯める | S |
利水 | 発電 | 水力発電を実施 | P |
今回最後に伝えたいのは下記の4点
- それぞれダムにはそれぞれ役割がある。
- その役割は洪水調節だけじゃない
- 生活に必要な水を貯めている、
- 水力発電をやってるダムも多い
以上!
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